思いだす

意識朦朧状態の父を見舞いながら、
高齢の両親との
温泉旅行を思い出した。
親不孝者の私には
そぐわぬ贈り物である。
「あなたの成長を見守ってくれた
ご両親に感謝しなきゃ」
妻に言われて
初めて実行した親孝行だった。
 子供のためなら
何でも応援してくれた親の姿を
当然のように受け取り、
甘え放題に生きてきた私だが、
満面笑みで
息子夫婦との旅行を楽しむ
両親の姿に、
なぜか胸が熱くなった。
膝が悪い母と、
それを労わる父の真っ白い髪は、
不肖の息子を持った
心労のせいでもある。
「こないな贅沢させてくれんでええのに。
ようけかかったやろが、
無駄遣いしてからに」
 年を取り一回り縮んだ風な母は、
やはり息子を慮った。
そばで頷く父の好々爺ぶりも、
感極まる私に、
幸せ気分にさせてくれた。
 一度きりの親孝行の贈り物。
病床の父を見つめ、
亡き母を思い出し、
ふいに目が潤んだ。

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