遠い記憶から

中学生になると、夏休みは鳥取で数日お泊過ごすのが恒例になった。旅行や遊びが目的ではなく、梨の収穫の手伝いである。父の実家は二十世紀ナシ農園で、夏休みが収穫と出荷の時期だった。猫の手も借りたい繁忙期は、親せきの子供も戦力を担わされたのだ。
 盆が過ぎると、父と兄とともに鳥取に入った。ほぼ一週間の滞在で、大人に混じって懸命に働いた。ナシ畑は急こう配の山にあり、さすがに子供はお呼びではなかったが、収穫された梨を選果、袋で包み、段ボール箱詰めと仕事はいくらでもあった。近所のおばさんたちに混じっての作業は意外に楽しかったし、瑞々しい二十世紀ナシが食べ放題だった。
 夕食は山陰の海の幸が膳に並んだ。イカ・カニ・トーフ竹輪など、めったに食べられないご馳走に、一日の疲れは吹っ飛んだ。そして最後の日に、なんとお小遣いが貰えた!
 夏休みといえば、二十世紀ナシがいの一番に思い出される。瑞々しい記憶である。
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