あの日あのとき

現役のころの仕事は夜勤専従だった。
そのせいで世間の事情には疎く、
特に四季の移り変わりと
無縁の生活にならざるを得なかった。

 昼の勤めの妻と入れ替わりで、
時々三歳の娘を公園へ連れて行く。
行きつけの広い公園だと、
少々眠気に襲われても、
小さな娘は父親のそばを離れなくて
安心なのだ。

 その日は違った。
遊具広場は
色づいたモミジとイチョウの落ち葉で
分厚い絨毯が敷かれていた。
その鮮やかさに
眠気は吹っ飛んだ。

 娘の成長を記録するべく、
いつもポケットに忍ばせているカメラで、
散り落ちた紅葉を背景に
娘を撮りまくった。

 カメラが目に入らず、
無邪気に紅い落ち葉で遊ぶ娘。
みているうちに童心に帰ったわたしは
落ち葉を抱えて宙にばらまく。
紅葉の滝に目を輝かせる
親子だけの世界が生まれた。

 そしてやっと気づいた。
いつの間にか秋になり、
その秋も終わろうとしているのを。
紅葉の落ち葉が
カサカサと囁き続けていた。

画像





拾って楽しむ紅葉と落ち葉 (森の休日)
山と溪谷社
片桐 啓子

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