お化け屋敷リポートと小説「ふれあい記念日・完結

参加者に島根から加西に移住して加西の活性化に取り組む若者や、画家の卵や、多彩なメンバーが結集していました。
3時にお化け屋敷の開幕!
入場者の先陣を切って、サンテレビの取材クルーがカメラを回し、美人(?・暗くてよくわからなかったのだ)アナウンサーが二人、怖がり体験取材。かなり「きゃー!ぎゃー」と大騒ぎ。脅すのも真剣勝負で、これでもかこれでもか!です。
そして、続く子供たちの叫び声が耳に心地よく響く。
通路の死角に身をひそめ、タイミングを計っての「お化けだぞー!」「キャー!」「もうやめてー!」大賑わいです。
途中水分補給をしながら、時間を忘れての脅かしゲーム。
つごう4時間半の長丁場だったが、いつの間にか時間が過ぎた感じ。乗りに乗っていたか、子供とサシで対決に集中を余儀なくされたからでしょう。
「最後のお客さんです」インカムに、最後の気合を込めた。
家族連れの4人。これが愉快だった。お子さんよりおじいちゃんおばあちゃんが顔を覆って「怖い、怖い」と駆け抜けていったのです。はははは(性格悪いですかね)
それでも、終わって照明が入ると、瞬間、気が緩んだ。
しかし、まだ片付けがあるのだ。
ともあれ、「加西音頭・総踊り」にお化け姿で堂々参加。囲む見物のお客さっらから「やんや」の喝さいを浴びた。
気分をよくしたところで、9時。待ちに待った打ち上げ花火の時間。議会棟の4階ベランダーを開放いただいた特別観覧席で
夢心地の花火見物だ。
片付けが終わると、もう11時前。
撤収は明日に回して、やっと解散となった。
暗くなった中を歩いて家路に。45分黙々と歩いた。
もう頭の中は真っ白状態。
自室に入ると、バタンキュー!
しかし、夜中の2時に目が覚める。習慣とは恐ろしい。パソコンに向かっていた。(苦笑・自嘲・そしてクスクス笑い)




30年前につづった小説「ふれあい記念日の最終章」です。




神輿屋台が威勢よく次々と会場に雄姿を現した。乗り子が調子を合わせて太鼓を打ち鳴らす。担ぎ棒に群がる男衆の肩に乗っかかる神輿屋台はジグザグと練り始めた。四台の屋台が差し上げられたり下げられたりと、会場の雰囲気を盛り上げる。見物客は屋台の不規則な動きに合わせて波打った。
 地域の施設に根強く残る無理解と反目を何とか繕いたいと行政主導で始まった。『ふれあい祭り』も、いつか当事者たちの人間的なつながりと絆が生まれ、実に好ましいものに育っている。身障者も健常者も一体となった会場の賑わいが目の前にあった。
「どん!どん!」
「やっしょい!やっしょい!」
「どん!どん!どん!」
「やっしょいやっしょい、そらや~っしょ~い!」
 神輿屋台の練り合わせが次第に興奮の度合いを増す。法被姿の元気者が屋台の担ぎ棒の上に仁王立ちになって掛け声で囃している。
 妻の胸の中で梨恵が首を不安定に揺らしながら、それでも祭りの喧騒に乗ろうとしているようだ。
 見物の輪の向こう側に、川瀬の姿があった。男の子を肩車に、両手に男の子と女の子が繋がっている。精一杯父親の責務を務めている。損得抜きの愛情が子供のために発揮されているのだ。彼はこっちに気付くと頭を振って合図を寄こした。軽く手を振って応えた。
 ひとしきり会場を興奮の渦に巻き込んだ神輿屋台が広場の四隅に落ち着くと、『ふれあい祭り』は佳境に突入した。
 園庭部分にしつらえた特設舞台のプログラムが始まった。成人通園者が懸命に務める晴れ舞台だった。保育園児のプログラムも合間に組まれている。歌にダンス、寸劇に合奏、舞踊……と続く。健常者ならいとも簡単なことが、彼らには格闘に近い大変さがある。高齢者が階段を上がるため一歩一歩慎重に歩を進めるのがより重大事なのに似通っている。
 そんな彼らの舞台は観客の目を釘付けにした。稚拙さも彼らの魅力だった。必死の息遣いと表現が感動を呼び観客の心を揺さぶった。
 隣で寄り添っていた妻が、そーっと手を握った。妻を見やるまでもなく、彼女の思いが伝わる暖かい手だ。握り返した。夫婦の意識が、いま一体化する。
 二人の目に映っているのは、懸命に舞台を務める誰でもなく、娘の梨恵の姿だった。成長した梨恵が、歌い、踊り、舞台を端から端まで駆け回る。私たちの宝物。可愛い梨恵が、あの舞台で希望と夢を与えてくれる。
 パチパチと拍手が起こった。正気に戻った。慌てて見直した舞台に、手作り楽器の名演奏を終えた園児たちの姿があった。
 梨恵はスヤスヤと寝入っている。なぜか胸に熱いものが込み上げた。
(よう育ってくれたなあ、梨恵。未来の夢をお父さんとお母さんに与えてくれるんだよな……!)
 顔を上げると、賑わい続ける会場があった。よくよく見ると、誰もの顔がいきいきと輝いて見える。その中に、園長先生がいる。アルバイト先でひょんな出会いがあった保育士さんもいる。身障を運命づけられた子供をひたすら愛する親たちもいる。お互いに助け助けられる関係で生きている。誰もが一人じゃないのだ。
「お父さん。どうしたの?」
「うん?」
 ズボンにしがみついた茉莉が見上げている。手を伸ばして抱き上げた。
「うん。お父さんな、嬉しいんだ、いま」
「茉莉も、嬉しいよ」
「そうか、そうか」
 茉莉のおでこにこちらのおでこをくっつけた。茉莉が底抜けに幸せな笑顔になる。
「よし。茉莉、お父さんと一緒に、お礼を言おうか」
「お礼?なんの?」
「みんなに。ここにいるみんなにさ」
「いいよ」
 茉莉の耳元に囁いた。
「ありがとう、みんな。これからもよろしく、お願いします!」
 妻と手を携えた子育ても、まだまだ波風が襲うだろう。梨恵が障害を持ったまま成長するのに、ついていけないかも知れない。でも、夫婦二人だけで抱えるわけじゃない。せっぱ詰まれば、無理をせずに助けを求めよう。ちゃんと手を差し伸べて貰えるだろう。少なくとも、いまこの会場でふれあいを共にしているみんなの手は……!
「ありがとう」
 
「ドーン!ドーン!」
 太鼓が打ち鳴らされた。呼応して各地区の太鼓が打たれる。
「やーっしょい。やーっしょい」
 神輿屋台が男衆の肩に担がれた。そして動き出す。勇壮な姿が会場の中央に集う。お別れの練り合わせが始まる。取り巻く観衆の人ごみが渦を巻くようにうごめく。
「カチカチカチカチ」
「ドンドン、ドーン!」
「やーっしょい、やーっしょい」
 拍子木と太鼓と掛け声の饗宴だ。
「お、う、お、う!」
 妻に抱かれた梨恵が声を上げた。妻がギュッと抱きしめた。頬ずりをした。きらっと妻の目に光るものがあった。
歓声と拍手の中、練り合わせを終えた神輿屋台は出口へ一斉に向かった。右へ左へ分かれた。ふれあいの役目を終えて、胸を張り帰っていくのだ。
観衆の激しい拍手がそれを見送る。名残惜しさを隠さない拍手の乱打だった。
祭りは終わり、また施設のうち外でみんなの営みが始まる。苦しみがあり、楽しみもある。そしてお互いの心がふれあう日々が、はるか彼方の未来につながっていく。いつまでも……。そう!いつまでも。               (完結)
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