嫌われた命名権?

きらわれた親の名?
 
 結婚する前から、わが子の名前は自分の一字をとって、男なら“恒太郎”、女なら“恒美”と名付けるぞと夢見ていた。私自身が父の名前から一字をもらっていたせいもある。
 ところが本当に父親になってみると、全然思い通りにはならなかった。なんと女房が猛反対である。「ださい!古臭い!子供があまりにも可哀想!」とけちょんけちょんである。自分の名前までけなされている気分になる始末。「勝手にせんかい!」とキレタ瞬間、私の夢はものの見事にかき消えた。
 結局、女房が尊敬する短大時代の恩師に名付け親を頼んだ。二人目も、やはり夫婦でケンケンガクガクの末、仲人さんが名付け親となってしまった。
 ならば三人目こそ“恒三郎”とがんばってはみたものの、「父親の名前を一字貰ったからって、子どもがいじけて悪く育ったら、あなた一生つらい思いをするわよ」との女房の強烈な皮肉交じりのひと言が、とうとう私のささやかな夢を奪ってしまった。
 その後の三人の子どもたちは、幸か不幸か私に似ない利口ぶりを発揮している。
「やっぱり名前って大事なのよね」
 女房の言葉を複雑な思いで聞く私である。
(讀賣・1991年11月17日掲載)

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