TVないと困るのは父親

TVないと困るのは父親

 妻の友人のところへ、一家総出で出かけた。目的は妻の出産が近づいているので、赤ちゃん用品を借りるためである。
 隣の親の家でテレビを寝転んで見ていたのを駆り出されたわたしは、その番組に未練を残しながらだが、この事情では不満顔をするわけにもいかない。
「いいテレビがあるな」
 部屋に通されると同時に、私の目についたのは、最近流行のワイド画面のやつ。しかし、子どもらはてんで見向きもしない。
 子供向きのビデオが映っているにもかかわらずだから、相手の旦那さんが、
「アレ?見ないの。面白いよ」
 と木を使う。
「この子たち、あまりテレビ見ないから」
 なんて妻は弁解したが、真相はわが家のテレビ、それも白黒だったのが、全く映らなくなったのを、そのままにしておいて長いからである。
 不思議なもので、テレビがないと、子どもたちは本を読んだり、ブロック遊びをしたりで、結構充実した時間を送っている。時には親も子どもにせがまれて彼らの仲間入りをさせられる。
 たぶん、その状態が長く続いたので、テレビなんかより外のことをやる方が楽しいに違いない。
 おかげで、わが家のテレビは手つかず状態。わたしがテレビっ子で、テレビっ子じゃない子どもたち。何か逆になってしまっているが、もう自然に任せた近ごろだ。
(神戸・1988・11・4掲載)

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