月見ごこち

中秋の名月。
まさにそれを目撃した瞬間だった。
「今夜は満月が見られるよ」
妻がそわそわしているのをよそに、
月を愛でる素直な心を、
子供の頃にどこかへ置き忘れている私は
ビデオ視聴。
何度も外へ誘う妻に根負けの態で外へ。
しかし雲一つない夜空に主役はいなかった。
「あれじゃないのかな」
妻が指さすのは、
シルエットになった山並み。
その頂きがうっすらと明るくなっている。
(まさか?)と思いながらも、
ロマンチックな妻に従って眺めていると、
じっくりと時間をかけ、明るさが増してきた。
意に反したワクワク感が。(どうしたんだろう?僕とあろうものが。笑)
そして、ついにそれは訪れた。
満月!(8年ぶりとか)
しばし見とれてしまった。(僕とあろうものが!大笑い)
子供の頃、月はコワイ存在だった。
闇の中を幻想的に照らし出す月光。
魔女がいきなり出現してきそうで体が震えた。
夜道を歩いていた時、
つないでいた兄の手も緊張していた。
しっかりと握り合い、
勇気を共有して、
家に辿り着いたものだった。
「ワ、ワワーン!」源ちゃんが吠えた。
天空の支配者に媚びるように……。
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