僕には本があった

暑いのを言い訳に
畑に足を延ばすのをやめた。
家の裏手にある畑は、
なんとか水やりをやってのけたが、
離れた畑の野菜たちを裏切ってしまった。
暑いのは野菜たちも同じ、
言葉をしゃべれない分、
暑いのを訴えることなど出来ない。
乾ききった畑が頭をよぎったが、
(一日くらい……)
その一日が野菜には
致命傷になりうるというのに……。
明日は絶対朝いちばんに、
野菜たちに挨拶しよう。

ふと、
他人を前にすれば、
全く何もしゃべれず
真っ赤な顔で俯くばかりだった
子供時代を思い起こす。
写生大会で得た
ちっぽけな自信と喜びも、
山下鏡子先生が担任でなくなるとともに、

また前のように
影が薄く孤独な子供になってしまった。
唯一の救いは図書室。
手当たり次第に本を読んだ。
「〇〇くんはどこや?」
「あいつ図書室やんか」
「そやったのう」
先生と級友の会話を、
廊下で耳にして、
入りかけた教室をUターン、
図書室へかけ戻った情けない経験もあった。
どんどん
周囲が認めるほど
自分にこもる子供になってしまった。
ただ読書は私を守ってくれた。
普通なら苛められる子供のタイプだったが、
読書で頭でっかちになった私の雰囲気は、
近寄りがたく、
苛める気にはさせなかったようだ。
しかし
運動が苦手な子供の居場所は、
小学校にはなかった。
遊び相手にもなれない運動音痴(当時そう呼ばれたことがある)では、
なおさらだった。
図書室、そこに溢れていた本がなければ、
根暗な変わり者の子供に
明日の希望はなかったに違いない。
少年少女世界・日本文学のほとんどは
5年生になるまでに読破した。
おかげで
国語の成績だけは別格だった。
(負けてたまるもんか)
負けん気の原動力にもなった。

今私がやっているまちライブラリーで
本に囲まれながら、
(本はいいぞ。決して裏切らないし、
世界の主人公にさせてもくれるんだぞ)
誰ともなく訴えかけている。(苦笑)

img003.jpgキューリ.jpg

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