記憶の竹箸

 父と祖父は私をからかうのが楽しくてたまらない様子だった。
「あれ?」
大事な箸が入っていないのに、まず気付いた。弁当の中身を確認するどころではない。手づかみする選択肢は当時の私にはなかった。
「どないしたんや」
「箸が入っとらん」
「そら大変や。母さん、よう忘れよるからのう。こらお昼はお預けや」
「ちょっと待っとれ」
 祖父はなたを手に立ち上がると、藪の中へ。すぐ出てきた祖父の手に、竹の切れっぱしがあった。二つに割ると「ほれ」と父に一つを抛ってよこした。父も心得ていて、鎌を使い竹をそぎ始めた。祖父も器用になたを使って作業を始めた。そいだ竹をせっせと削り上げていく職人芸に見とれてしまった。
「ほれ、これで弁当を食えるやろが」
 瞬く間に出来上がった竹箸は、見事な出来栄えだった。いい香りもあった。
「竹の箸で食うたら飯はうまいぞ」
 祖父がいい、父は笑顔で頷いた。
「どないな時でも、山や畑で困ることはあらへん。ちょっと頭使ったら、間に合いよる。わしらの暮らしは自然の恵みとの二人三脚や」
 父のどや顔をまぶしく感じた。
 食事のたびに重宝している竹の箸。塗り箸にはない愛着がある。越前で塗り箸と一緒に買ったものだが、祖父と父の思い出とともに大事に使っている。
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当日消印勝負

31日は
公募の消印当日の締め切り日。
私の場合、
応募原稿の仕上げは
締め切りぎりぎりが大半。
要するに
天性のなまけものなんだろうな。(苦笑)
毎月月末は
前夜から消印当日の夕方5時まで
ワードのモニター画面と睨めっこ。
早く書いておけばいいのにと
妻も娘も、
いや知人の多くが忠告してくれる。
でもカイゼンは一向にならず。
今回は400字10枚の原稿との闘い。
30日の深夜1時から
キーボードをたたき始めた。
原稿の下書きなど
いままで書いたことはない。
ぶっつけ本番だから、
中身のない頭を悩ませながらとなる。
何行か書いては
削除!削除!
時間がかかって当然だ。
31日午前11時、
やっと仕上がった。
要綱を見直して、
別紙に必須データーを書き出す。
そしてホッチキス止め、
気を付けないと
ホッチキスは不可の場合があったりする。
A4の原稿が入る封筒を用意してあて名書き。
サイズがあう封筒がないときは、
慌てて前に郵送されてきたものを裏返して間に合わせる。
今回はアセアセで即席の角封筒を作った。

近くの郵便局の窓口に急ぐ。
ポストだと、
当日消印でいけるかどうか不安なので、
窓口を利用する。
土曜日曜だと
ゆうゆう窓口へ走る。
本局にしかないから大変なのである。

出し終わると
体中の力が抜ける。
そして余計な心配を始める。
阿蘇の文章おかしくなかったか?
変な文字がはいっちゃんたんじゃないか?
そうだとしても
もはや手遅れだというのに。(苦笑)

とにもかくにも、
10枚の原稿は間に合ったのです!
もしかしたら、
この臨場感が応えられないのかもしれないぞ。
いや~お疲れさまでした。

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