父の未練

半世紀以上、
レストランをはじめとした
喫茶・飲食業界を
調理ひと筋に生きて来た。
いまは静かに余生を送っている。
 実は我が息子の一人が
わたしと同じような調理人の道を
突き進んでいる。
今は名古屋近辺の
居酒屋の店長で頑張っている。
しかし遠く離れた地には
なかなかいけない。
一度機会を得て
息子の店を訪ねたが、
折悪しく忘年会シーズンで、
店はてんてこ舞い状態だった。
「おい。なんか食わしてくれや」
「悪い。店は予約でいっぱいなんや。
次の機会にして」
 冷たい(?)対応で
息子に追い払われた。
同じ業界で生きて来たわたしには、
息子の立場が理解できるから
何も言えない。
素直に退散した。
息子の作る料理への
未練が残ったまま。
だが名古屋の方へ行く機会は
皆無となった。
 いつかは必ず息子の調理した、
美味い料理を食べたいと
願望はふくらむばかり。
それも舌がバカにならない間に
味わいたい。
それまでは
簡単に死ぬわけにはいかないぞ!
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