若かったころのドタバタ劇を思い出す

「あんなバタバタした
結婚式をするなんて!」
 昔を振り返っては、、
何かにつけてこう口にする妻。
 あれは、そう……妻が、
私と交際を始めて
3ヶ月もたたずに妊娠。
あわてて
妻の両親のもとへ足を運んだ。
けれど、
ひと回り以上の歳の差と
当時の私の
不安定な仕事などを理由に、
両親は猛反対!
そこで作戦を変え、
正式に仲人さんを頼んで再訪問。
妊娠の事実も幸いして、
何とか両親の賛同を得られた。
 ところがここからが、
バタバタ結婚式の幕開きだったのだ!
できるだけおなかが目立たないうちに
結婚式を済ませなくてはならぬと、
大あわての式場探しを課せられた俺。
仕事そっちのけで走り回った甲斐あって、
見つけることは見付けたけれど、
そこは時代に取り残された
風情あるボロボロ神社。
名前だけは、出雲大社北条分院と
ご立派だったが……?
 しかし
、5か月のおなかを抱えた妻との結婚式は
案に相違してつつがなく終わった。
懸念していた式場のお粗末さも
、妻の短大時代の
恩師先生の祝辞に救われた。
「時代に流された底の浅い結婚式と違い、
心温まる最高のお式に立ち会えて、
本当に幸せですよ。
和子さん、
いいお婿さんに出会いましたね。
おめでとう」
 私の隣で妻は嗚咽し、
幸福な涙を流していた……。
 にもかかわらずだ1
妻の本心は、
いまだに
「やり直せたら……!」なのである!
俺だって背一杯やったじゃないか。
頼むから、
もういい加減に
愚痴りを止めてくれないかなあ。
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