母への懺悔

やったぞ!母さん。
僕の娘が、
母さんの孫が、
市役所採用試験に
合格したんや!
これまで失望ばかりさせた
息子だけど、
ようやくってことかな。
娘の力を借りてだから、
相変わらず情けない子やと
皮肉るだろうけど。
末っ子の僕をとことん甘やかして
育ててくれた母さん。
幸せいっぱいの子供だったと思う。
けど、
僕はとことん甘えてしまったんや。
家族にも心を許せない程
ひどい人見知りだった僕は、
今でいう引きこもり状態だった。
親父は僕の顔を見ては
ため息をついていた。
「無理せんでええ。
母ちゃんの子やで。
大器晩成や。
母ちゃんには
ちゃんと分ってる」
 いつも庇ってくれたことを
忘れない。
 甘えん坊に育った僕は、
性格も災いして
母さんを裏切り続けた。
高校で事件を起こし退学、
社会人になっても
挫折つづきで
母さんを悩ませ続けた。
その都度、
「お前は母ちゃんの子やさかい、
大丈夫や」と口癖のようにいい、
そして涙を見せた母。
まともな人生を手にできたのは、
あの母さんの涙のおかげや
 気丈な母さんが、
亡くなる直前に

ポロリと漏らした言葉に僕は衝撃を食らった。
「頭のええお前なら
公務員になれたやろが」
 田舎では
誰もが切望する公務員を
息子に託し、
所詮果たせない夢を
抱き続けた母さん。
 ようやく…ようやく、
母さんの夢を、
僕の娘が実現したんや!
母さんの孫が
やったんや
「どや母ちゃん。
やっと親孝行果たしたぞ!」
 他力本願やけど、
それが僕の精一杯や!(自嘲)
 
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