事故はいきなり

最近、高齢者による交通事故がやけに多く報道されているが、私は最近車に乗る機会が滅多になくなった。まだ返納まで至っていないが、極力運転しないように心掛けているのだ。外出は、歩くか自転車にしている。そんな立場になって、車の横暴ぶりに、恐怖する日々を送っている。(交通弱者への思いやりなど、かけらもない現実に、交通事故多発もやむなしと思わざるを得ない。イヤハヤ)

何年か目に、私も交通事故にあっている。その時の記憶は今も鮮明に思い出す。
 ガクッ!いきなりの衝撃が来た。(えっ?なに?)と呑気過ぎる反応は意外だった。
 愛車の横腹を、横道から飛び出した車に直撃されていた。弾みで車体は一回転、道沿いにあった倉庫の壁に跳ね返され、横倒しで対向車線を遮る恰好でようやく停止したが、何が起こったのか理解できぬままだった。といって狼狽えは全くしなかった。時間が止まって見えたといっていいのかも知れない。
 現実を取り戻すと、体が宙づりになっているのに気付いた。シートベルトに縛られた状態だった。下を見ると娘の目に出会った。通学のため、最寄りの駅に送る途中だった。
「大丈夫か?」「うん」「よかった」
 助手席の娘を見下ろす形で、なんとも場違いに思える父と娘の冷静過ぎる会話だった。
 救急車が来るまで、父と娘の睨めっこは続いた。まるで遊んでいるかのような錯覚を覚えた。事故に遭遇した危機的状況なのに、普段と同じ、興奮も切迫感も、まるでなかった。
 救急車が来ると、親子は問答無用で引き離された。緊急搬送された病院で、上着も下着も切り裂かれ丸裸にされるがままだった。
「〇〇さん!痛いところありませんか?」「返事して下さい!」「吐き気はありますか?」
 矢継ぎ早に救急医療スタッフに問いかけられた。それにすかさず反応できるほど器用ではない。(なんだよ)と問い返す間もなく、МRIのマシーンに放り込まれていた。
「あの子、かなり離れた病院に運ばれてね、大変な目にあったんよ。泣いてたわ」
 駆け付けた妻が口を挟ませない勢いで、娘の状況を克明に喋りまくった。「うん、うん」と頷くのが精一杯だった。結局、家族以外の面会が許されない入院生活を、一週間送り。頸椎捻挫の検査などを繰り返し受けた。
 周囲がバタバタしているのに、当の本人はケロッ、実に冷静そのものだった。
 交通事故の被害者が、徹底した俎板の鯉にされる体験は、二度と味わいたくないなあ。
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