復活?

定年退職の日、
再スタートさせた。
仕事と家族のため
諦めていたものを。
四人の子供たちは
それぞれ巣立った。
妻は
「あなたがやりたかったこと、
もう一度やるのよ」という。
こうして
余生をかけたチャレンジは
始まった。

 若いころ出会った
アマチュア劇団の舞台。
人見知りが激しく
友達のない
孤独な日々を送っていた
私の心を鷲掴みした。
当時働いていた町で活動する
アマチュア劇団の公演だった。

 参加し
仕事と両立の充実した日々を手に、
いつしか
自らグループを率いる立場になった。

「仕事と活動の両立」をテーマに
募ったメンバーと
舞台づくりに取り組んだ。
若いメンバーを育て、
地域の文化つくりに邁進した。

 若いメンバーの相談相手も務めた。
就職に苦闘する
高校生メンバーのために
めぼしい会社を
かけずり回ったのもしょっちゅう。
人の役に立つ充実しきった日々だった。

「生涯夫婦で
劇団をやり続けていこう!」

 結婚した時に
交わした夫婦の約束である。

 第一子が難病で
入院生活が
続いたのを手始めに、
子供四人を抱えた生活が
圧しかかり、
約束は
反故にせざるを得なくなった。
収入がいい
深夜の仕事に専念した。
仕事しかない虚しさを、
家族への愛に替えて踏ん張った。
実に三十年近く、
父親と夫を立派にこなした。

 時代は変わり
地方のアマ劇団に
厳しい状況だった。
(くそったれ!)
高齢者だということに
甘んじるのは嫌だった。
仲間がいなくてもできる
一人芝居を思いついた。
播磨風土記に描かれた
故郷の象徴である
伝説の美女を
語りあげる脚本を書いた。
発声練習も始めた。

「また芝居やると聞いたんで
応援にきました」

 昔のメンバーの一人が
仲間を連れて顔を覗かせた。
私が蒔いた種は
ちゃんと根付いていた。
嬉しくて堪らない。

 やり続けられなかった事をやり直す。
仲間の輝く表情に、
私の青春は
蘇りの時を迎えた。  
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