あ~あ~

8日。
残念な悪天候。
雨が降ったりやんだり。
どうしようもないですね。
ただ桜もモクレンも
懸命に
素敵に咲いてくれているのが
心を和らげてくれました。
素直に
雨中の花見を
楽しみました。

けせらせら(題名変更しました)・その2


 遊休が十日まとめて取れた。慢性的に人手不足の職場だった。いつもてんてこ舞い状態で、有給休暇を上手に消化するどころか、休日出勤を余儀なくされる一方だった。

「遊休取るんかいな?」

 上司の尾崎は、額にしわを寄せた。仕事量に応じた人手の確保を何とかしようと、日々頭を悩ませる立場では。雄二の都合など二の次に違いない。

「もう最後やさかい、きっちり取らせて貰いますわ。ゆっくりしたいんで」

「やっぱり会社へ残る気にならんのかいな」

「給料下がる嘱託で、同じ仕事するん叶いません。無理して働く職場と違いますわ」

「そらそうやな」

 尾崎は納得顔で頷いた。

「社員を大事にせん会社やもんのう、ここは」

 尾崎が会社への不満を常々募らせているのは、よく承知している。同じ穴の貉である。

 いまは製造の炊飯課に所属している尾崎だが、本来は営業で辣腕をふるっていた。些細なミスから上の不興を買い、畑違いの部署に飛ばされたのた。会社の処遇に不満を捨てきれないでいるのは明白だった。

 製造部炊飯課は弁当仕出しに不可欠な飯を炊く部署である。白飯だけはなく、赤飯や炊き込みご飯、すし飯などを注文に応じて大量に炊く。鋳物製の釜に洗った米と水を張りコンベアーベルトへ上げ下げする作業は、かなりきつい。熱気と湿気まみれだから尚更だ。

「あんたも島流しされた口かいな」

 炊飯に移った初日、貝塚は自虐的に言ってのけた。工場で炊飯行きは島流し扱いなのだ。

 確かに雄二は島流しだった。もともと調理場で包丁をふるい、六年近く勤続するベテラン調理師だった。調理場は工場の花形部署で、雄二は一目置かれる存在だった。

 ところが子会社から移籍した出口と相性が最悪だった、雄二は居場所をものの見事に追い出された。工場長と旧知の仲だった出口は、調子に乗ってやりたい放題。工場長はわれ関せずの態度を見せた。挙句に出口を主任に引き上げた。

 調理場の秩序を優先して仕事を進める雄二は、ことあるごとに出口とぶつかった。勝利なき闘争を続けた。雄二は遂に敗北を喫した。

「千原はん。炊飯に回ってくれへんか。人手が足りんようになってもてのう。どないもこないもならんのや。無理いうけど頼むわ」

 島流しを前提にした工場長の指示。出口の意思が介在しているのは明白だったが、人手不足が大義名分では如何ともしがたかった。

「ほな無理言えんわのう。よっしゃ、遊休全部とれるように、シフト組むわ」

「済んません。迷惑かけます」

 口ではそういったものの、雄二に申し訳ないという気持ちはさらさらない。会社に対して「ざまあ見ろ」と罵るだけだった。

 該当者の誕生日で定年退職となる。前日に雄二は定時でサッサと退社した。ロッカーの中身は数日前に片付けている。もう用はない。工場長や同僚に退職の挨拶をする気は、これっぽっちもなかった。工場の正門を出ると、溜まりにたまったストレスがスーッと消えた。このストレスが大腸ポリープの因子だったのだ。間違いない!   (続)
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