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zoom RSS 思い出メモ・病気

<<   作成日時 : 2016/11/11 09:46   >>

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「どないしはったんですか?」

同じ病室で
ベッドが隣りの母親だった。
幼稚園児くらいの男の子に
付き添っている。

こちらは長女の入院。
生後三か月になったばかりの赤ちゃんで、
付き添いは欠かせない。
妻がかかりっきりになっている。

「疲れてはるんじゃありませんか?」

母親も疲れは隠せない様子だ。
たしか入院も
一年を越しているらしい。

「妻のほうがしんどい思いしてますわ」

わたしは病室に戻るべく、
母親に頭を下げた。
すると彼女に止められた。

「さっき添い寝を始められたところだから、すこし時間をずらされた方がいいですよ」

「ああ、そうですか。
行っても邪魔になるだけだし、
遅れていったほうがいいかな」

「奥様、お幸せですね」
「いやあ、子供が入院してから何もしてやれてないんですよ」

それは本当だった。
入院の赤ちゃんの世話は妻任せ。
私は仕事を名目に、
ちょこっと病室に顔を見せるだけ。
それでも疲れはひどい

「新婚さんなんですね」
「そうです」
「大変だそれじゃ」
「……!」

そう大変過ぎて、
すぐ口げんかになる。
それも限界だ。
妻は『離婚』まで口にしだした

「奥さんすごく感謝されてますよ」
「え?」

意外なことを聞かされた。

「顔を見たら甘えてしまい、
ひどいことばかりいってしまうけど、
夫がいるから頑張れてるんですって。
あなたのこと話される奥様、
本当に幸せそうな顔をされるんだから」

絶句した。
思いもよらなかった。

「愛されてますよ。
いいご夫婦なんですね」

母親は頬笑み頷いた。
何度も何度も。
病室に向かう私の心は
妻と子に占領された。

「退院おめでとうございます」

退院の日。
子供の入院が続く母親は
我がことのように喜んでくれた。
ただ感謝した。
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