ほう。ほう~♪

(あっ!)

 ツーッと淡い光が宙を舞った。

ホタルだ!

 暑くて涼みに出た庭先で

偶然の遭遇だった。

ここ数年、

めったにお目にかからなくなったホタルが、

目の前をふ~らりふ~らり飛んでいる。

懐かしい。

優しく淡い光の舞だ。

 家の裏手に小川が流れている。

昔はホタルの乱舞が普通に見られた。

その川が補修されコンクリートの溝(?)になると、

幻想的なホタルの乱舞は消滅した。

 いまも舞う光はひとつだけ。

寂しい限りだが、

ホタルだって孤独なのは確かだ。

優しい気持ちにさせられる視線の先で、

ふっと闇に消えた。

雑草の中に身を休めたのだろうか?

 見渡す周囲は、

田植えの終わった田圃が広がる。

満たされた水面のさざ波が、

時々月明かりにきらめく。

ゲコゲコうるさい蛙は昔もいまも同じだ。

なのに、

ホタルは……。

「ほ、ほ、ほーたるこい~♪

かえってこい~」

無意識に口ずさんでいる自分に気づいた。
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