こんにちわ赤ちゃん・その4

茶碗蒸しと、

鮭のムニエル、

ほうれん草のお浸し……

少し太めの娘には

脂っこい洋食よりも

和食がおすすめだ。

それに和食の惣菜を

好んで食べる、

いい子だった。

 夜九時。

帰宅した妻と

二十年ぶりの

コンビを結成し、

赤ん坊を風呂に入れる。

湯船につかり

湯加減をみるのは、

昔も今も

私の役目だ。

「もう

用意はいいのん?」

 妻はせっかちだ。

こちらの都合を訊きながら、

もう裸にした赤ちゃんを

タオルにくるんで、

「さあ、

どうだ!」

と迫る。

「ああ、

ええで」

 やはり逆らえない。

三十数年、

そうやって

結婚生活はうまくいった。

婦唱夫随は健在だ。

 赤ん坊の後頭部を

親指と小指で

はさんで支える。

右手に持った

ガーゼのタオルで洗う。

忘れたようで

体はちゃんと

覚えているものだ。

顔、

頭と来て、

首筋に脇、

股間から

お尻を丁寧に洗う。

 思わず笑った。

思い出したのだ。

お尻を洗ったら、

ドバーっと

ウンチをやられた

記憶は鮮明だ。

娘が二回、

息子も数回、

風呂にウンチを

ぷかぷかと

浮かべたものだ。

洗い終わると、

指で頭を支えたまま、

湯面を泳がせる。

赤ん坊は目を閉じて

気持ちよく

湯に身をまかせている。

安らかな表情に

しばし見惚れた。

やはり天使だ。

(……初孫だ、

俺の。

そやけど、

おじいちゃん、

うまくやれるやろか……?)

 ゆとりがもたらす悩みだ。

しかし

昔の経験がものをいう。

慣れるのは

初心者より早い。

 ガラッと

浴室の引き戸が開いた。

「いつまで、

何しとんのん?

程らいのとこで、

呼んでくれなあかんわ。

こっちは忙しいんやで。

すること

なんぼでもあるんやさかい」

 妻の毒舌と、に

やけた表情が一致しない。

さほど怒っていない証拠だ。

とにかく赤ん坊を、

風呂から

取り上げて貰えればいい。。

 深夜。

リビングで

テレビを楽しんでいると、

娘が顔を覗かせた。

胸に赤ん坊を抱えている
画像

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