こんにちわ赤ちゃん・その1

「はい、

〇〇ちゃん。

おじいちゃんだよ」

 玄関に入って来た娘の

第一声。

顔がにやける。

娘の胸に

しっかり抱かれた赤ん坊は、

初孫だ。

それも女の子である。

目に入れても痛くないを

実感させてくれる存在だ。

「はよ上がれ。

外はまだ寒いやろが」

「うん。

ありがとう。

〇〇ちゃん、

お願い」

「ん?

お、おう。

ほな、

預かろか」

 赤ん坊を

慎重に受け取る。

まだ慣れない。

落としたら大変だ。

臆病者だから、

ふと不安に襲われる。

右の腕で頭と首を支える。

首が

まだ座っていない。

油断は禁物だ。

「ほら、

笑ってるよ」

「え?」

 娘に教えられるまで

気づかなかった。

やはり緊張している。

情けない話だ。

赤ん坊を見やると、

確かに笑っている。

ただ、

目はあらぬ方向を

向いている。

無理もない。

生後二か月に

なるかならないのだ。

それでも、

いつかは赤ん坊が

ジーッと見つめてくれる

ときが訪れると、

心待ちにしている。

 娘が出産したのは、

一月十四日。

立ち会えなかったが、

夜遅く産院に駆けつけた。

保育器に入った赤ん坊と

対面する。

「へその緒が

短かかったらしくて」

 娘の伴侶が、

なぜか

申し訳なさそうに説明する。

気にするな。

あんたの責任じゃない。

「ちょっと小さいんです。

二千四百あるかどうかで」

「ちいそう産んで

大きく育てるいうやろ。

心配せんでええわ」

 妻は新米父親の不安を

笑い飛ばした。

男には及びがつかぬ

自信に満ちた物言いだった。

「それで母親の方は

べっちょなかったんかな?」

 わたしが一番気になるのは

娘の塩梅。

出産は病気じゃないが、

万が一ということもある。

ここでも

臆病者の本領を発揮する。

「はい。

大丈夫です。

元気してます」

 小太りの娘と

痩せてスリムな婿。

実にうまく

バランスが取れている。
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