丸かじり

恵方巻きの丸かじりが,

節分行事だと知ったのは、

弁当屋に勤めて,

自分が作る立場になった時。

それまで節分といえば、

豆まきだった。

「節分て巻きずし食う日なんか?

『鬼は外!』いうて,

鬼を追い払う日やろ。

鬼が巻きずし嫌いて、

知らなんだなあ」

 真面目な顔でそういって、

職場の同僚に大笑いされながら、

巻きずしを巻いた。

 節分を迎えると、

製造現場で何千本も,

恵方巻きを巻いた。

終わる頃には、

もううんざりだ。

見るのも嫌だが、

家族の分は買って帰る。

ところで、

最初は,

丸かじりするものだと知らなかった。

包丁で切り分けて、

皿に盛って紅しょうがを添えて,

食卓に出した。

「丸かじりしなきゃ、

福は来ないんだよ」

 小学校に通う長女が口を尖らせた。

友達の家では、

もう当たり前になっている,

節分行事だった。

正に負った子に教えられたのである。

 最近は、

私が家族の分を,

愛情込めて巻いたものを、

家族そろって,

丸かじりしている。

画像

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック