残りは腰をかがめて…?

残りは腰をかがめて手刈りを

「今年の出来は最高!」と、重く垂れさがった稲穂が色づいていくのを毎日、眺めていたのがウソみたいな惨状だ。
 台風18号のせいで横倒しになったわが家の稲田を前に、しばらく思案した。
 コンバインを入れる方向が難しい。一方向への倒伏なら、ことは簡単。しかし、目の前はあっちこっちにと複雑に倒れている稲の絨毯だ。その下には、まだ水が抜けきっていない泥田がのぞいている。
「ええい!ままよ」
 とコンバインを突っ込む。そして…三日後、やっと刈り終えた。
 前年は半日仕事だったことを考えると、いかに大変なことだったか。そのうちコンバインで刈れたのは三分の一だけ。
 それも泥にまみれた作業のせいでコンバインは故障続き。結局残りは腰をかがめて手刈りを。腰が痛んでマヒした頃、作業はようやく終了した。
 乾燥機に入れるモミを手に、込み上げてくる収穫の感動は、苦労した分の何十倍、何百倍も大きかった。
(讀賣・2004・9・26掲載)

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