やむをえずに“参戦”

やむをえずに“参戦”

 車の免許は一生持たない、運転しない、なんて公言していたわたしが、なんと免許を取り、車を乗り回すまでになってしまった。
 家、職場、子どもの学校の行き来には、もっぱら徒歩か自転車を利用していたのだが、その道筋の交通事情のひどさに音をあげたからである。
 道筋一杯に走る大型トラックはもとより、乗用車まで、そこのけそこのけとばかりに、駆け抜ける。歩行者など眼中にないような交通マナーの悪さに、死ぬ思いさえした。
 ついにわたしも白旗をあげた。クルマ社会における安全は、車に乗ってでないと手に入らぬものだと、思い知らされた。目には目を、車には車をである。
 かくしてわたしは、かの悪名高き車社会の一員に取り込まれてしまった。
(讀賣・1992・6・28掲載)

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