やりたがりっ子

何でもやりたがりの息子

「ボク、やるよ」
「ボク、できるよ」
 これらが4歳になった長男の口癖。口を結んでキッと見上げる顔は、怖いものはなにもないといった感じ。少しまぶしいぐらいである。
 ところが、やることなすこと失敗ばかり。食事の用意を手伝っていて、家族4人分の料理をひっくり返す。水まきでは、庭どころか部屋の中までびっしょり。夫婦顔を見合わせて苦笑するしかない事態続出である。
 それでも本人にすれば「やったー!」という満足感にあふれている。もちろんわたしたちは叱るが、あまり効果は見られない。叱る側が相好を崩しているのだから、当然と言えば当然である。すぐに失敗を忘れた長男は「ボクやるよ!」としゃしゃりでてくる。
 そのうち面白いことに気付いた。失敗を何回も繰り返したことはえらく慎重に、恐る恐るやっているが、その表情の真剣なこと。見てるこっちがひき込まれそうな気迫である。
 そして、やり方をいろいろ工夫している。工夫といっても体を利用しての単純なものではあるが。
「おい、あいつ、いい目をしてるぞ」
「へえ、あんなやり方もあるんだね」
 感心させられたりでワイワイガヤガヤと見守るわたしと妻。「失敗は成功のもと」なんて、よく言ったものだ。
 子どもらは失敗するために興味を持ち、失敗は成功に至る創意工夫を生み出している。
(神戸・1988年10月1日掲載)

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