主婦はキツいと夫

「主婦はキツい」と夫

 店を廃業したあと、勤め始めてやっと3ヶ月たった。結婚した当時、おっとがやっていた商売を手伝うからとやむなく退職した保母職。復帰してから慣れるのも早く、いまではもうすっかり余裕すら出ているのだ。
 ところが夫の方は大変。まだハイハイしたばかり12か月の赤ん坊を抱えた私たち。上の二人の子どもたちは昼間保育園に行っているので問題はないが、この赤ん坊はどうしよう?近くに世話を頼める家族や親類もいない。って状況を迎えててんやわんやの末に、どちらか一人がしばらく子育てに専念するこになった。
 わたしの方がひと足先に仕事が決まり、子育ては夫の方に回った。当然家事も。つまり夫は主夫業にならざるを得なくなった。
 いまだかって家でじーっとしていたことがない夫だから、最近は大分ストレスがたまっている様子なのだ。
「主婦の立場を理解するいいチャンスだ」と、最初は優しい笑顔で引き受けた夫だったが、傍で見ていても気の毒になるぐらい、悪戦苦闘を余儀なくされている。
 これまでは仕事ひと筋、赤ん坊の世話など一切見向きもしなかったのだ。夫のプライドも相当傷付いたはずだ。
「主婦ってキツいもんなんだな。いい経験させて貰ってよかったよ」
 あくまで普通の態度を崩さず言ってのける夫。立場の逆転は、私たち夫婦にとっては、いまのところいい刺激となっているようだ。
(讀賣・1989年8月26日掲載)

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