胸をときめかせた、あのマンガ

胸のときめき消え

「鉄腕アトム」や「鉄人28号」で始まった漫画との付き合いは、もう20年以上になるから、われながら驚きである。しかし、最近の様変わりには面食らうばかり。誠治、経済、歴史……漫画の進出は無差別である。
 子ども漫画雑誌の連載物ですら、かっては想像だにできなかったデザイナー、調理人、演劇界……とあらゆる分野が取り上げられている。面白くて専門知識が得られるとくれば、何をかいわんやである。漫画大好き人間にとって、これ以上はない漫画文化の発展ぶりだが、どうも何かが違うのである。作画技術の水準は上がり、内容も高度化している。だが、いくら読んでも、あの胸のときめきは復活してこない。
 結局、多様化のせいで複雑にはなったが、心が忘れられている気がする。どんなに悲惨な漫画でも、かっては優しさが下敷きにあった。健全そのものの鉄腕アトムに胸躍ったころが懐かしい。
(讀賣・1988年10月2日掲載)

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