このいのち大切に

このいのち大切に生きて

 生後3か月で川崎病と診断され、一か月近く入院を余儀なくされ、退院後も後遺症の健診で定期的に通院するはめになった長女である。
「この子の運命にゆだねるしかないな。ぼく達はただ温かく見守ってやれるだけなんだから」
 悲惨な症状でベッドに横たわる長女を見つめ、沈んだ声で言う夫に、うなずくしかなかったわたし。もはや長女の未来など考える余裕すら失った状態だった。初めて授かった子だけに悲しみはいっそう増した。
「わたしの健康をこの子に分け与えられるなら……」
 点滴で身動きも出来ない赤ん坊に添い寝しながら、何度神様にお願いしたことか。
 神様へのお願いが通じたのか、長女はこの4月に新一年生となる。
 そう強いとは言えないが、これと言う大病もせず成長し、二人の弟の面倒をよく見る、しっかり者のお姉ちゃんになってくれた。わたしも夫もうれしい限りである。
「神様が守ってくれたいのち。これからも大切に、みんなで明るく生きて行こうね」
 ランドセル姿の長女にソッと囁いていた。
(産経・1990・3・27掲載)

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